2015年12月5日(土)に総合領域主催のUX SHIGA 第五回目が開催されました。
講師に浅野 智先生(UXコンサルタント・研究者)をお招きいたしました。
-物語と背景を考える
第四回目の反省をしながら、先生に色々なお話をしていただきました。
その中で「コンテクスト(ここでは物語の意)」を考えるということがわたしには必要だなと思いました。
自身の作品をまとめたポートフォリオを作るときに全体のラフを書いてそれに沿って中身を埋めていくと良いとお話されていました。
理想の形を決めてそれに足りないものを埋めていくというのは、自分がいま何をすべきか分かりやすい方法です。
制作自体を物語とすると、その物語は全体をどんなものにしたくて、ディテールはどうしたいかなど考えていくと自分がすべきことも見えてきそうです。
物事を断片で捉えず、全体像を掴んでから動くというのはあらゆることに通ずると思うので癖付けていきたいです。
-フィールドワークとKA法
今回のテーマは「フィールドワークとKA法」です。
前回の授業で 「撮る」行為をしている人の写真を撮ってくる という課題が出ていました。ここから「人はなぜ撮るのか」という体験を調査します。
撮影する際には何をしているんだろうという問いを立てます。私は 新京極通り・寺町通りで写真撮影をしている外国人 を対象として撮影をしました。
KA法とは、調査結果それぞれの事実の背景にある「ユーザーにとっての価値」を抽出する方法です。
上の写真の外国人観光客はTシャツ屋さんの店先を撮影しています。彼女は日本語の書かれたTシャツがたくさん並んだ店先を撮影して、友だちに見せたいと思っているのかもしれません。これには「日本に観光に行ったことを一目で分かってもらえて、話のネタになることで盛り上がる価値」があります。
-KA法を用いてワークショップをする
まずはKAカードを作成します。
KAカードは一番上に写真を貼り付け、出来事・ユーザーの心の声・行為の背景にある生活価値を書き込んだカードです。
このカードを一人5〜6枚作成しました。
次にグループで価値マップを作っていきます。似た価値を持つKAカードをまとめていくつかのKAカードのグループを作ります。
グループにはラベルをつけます。(中分類)
またそれを整理して価値マップを制作します。
中分類を大きな紙に貼り付けていきます。このときに中分類それぞれの関連性を意識して貼り付けます。
そうして関連性を意識して貼っているうちに、私たちのチームはどの写真にも共通して「既視感がある」ということに気がつきました。
奇をてらって撮影した写真でさえ、どこかで見たことのある写真のようだったのです。
写真を撮影するときには自分が撮っているつもりでも、以前見たなにかに寄せてそれのように撮らされているのではないかと話し合いました。
-技術が進んでも人が進んでいなければ意味がない
いよいよプレゼンへ。わたしたちのチームは上記のことを先生に伝えました。
このときに先生から技術がリードしても、イノベーションは起こらないよねというお話をいただきました。
カメラ技術や性能がアップしても、人は以前見たなにかに寄せて撮影しているために写真自体に大きな変化は現れないのです。
他の例えとして年賀状のお話があがりました。年賀状を作るためのソフトは昔より充実してきています。しかし、未だに自作の年賀状の大半はダサい!
たとえ技術力が上がったとしても、その人の創造力が上がらなければ何の意味も持ちません。
無事、他のチームもそれぞれ「撮ること」から発見したことを発表しプレゼンは終了しました。
UX初心者の私にとってUX SHIGAは悩みまくりなものでした。考えれば考えるほど迷宮に迷い込む…。
しかし、ストンと腑に落ちておお〜!と思う箇所もたくさんありました。
普段使っていない部分の脳を動かすと、他の部分も元気になった様です。違う視点に気がつくきっかけとなりました。
UX SHIGAはこれにて終わりです。
受講生のみなさんお疲れ様でした。浅野先生ありがとうございました。