オープンコラボレーションを通じてWeb、コンテンツ、コミュニケーション、空間などをデザインするクリエイティブ・カンパニー株式会社ロフトワークの方々を特別講師として迎えた「特別講義1」も今年で6年目となりました。
今回は「個人的な課題」に焦点を当て、それぞれの手が届く範囲の課題解決を”商い”を通して実践しました。講師はロフトワークのクリエイティブディレクター太田佳孝先生です。
授業は3日間開催され、京都五条のロフトワーク京都オフィスの1FにあるFabcafe Kyotoにて行われました。
講師の太田佳孝先生は、百貨店で店舗運営と新規事業開発を経験されたあと、デザイン・写真・映像といったクリエイティブ領域のスクールマネジメントに携わられてきました。多くのクリエイターや学生と関わり、デザイン教育にご経験をお持ちの方。現在は多様な領域で理論と実践を横断するディレクションを手がけられています。
<1日目前半>
太田先生から今回のテーマについて説明を受けました。
今年のテーマは「NOT MY BUSINESS ? 「個人的な問題」からはじめる商いのデザイン」
Not my businessとは、「自分には何ら関係ない事」という意味です。
社会の構造も複雑になり未来を見通すことが難しい現在、「人々は」「日本人は」と大きな主語で語ると具体的な対象がこぼれ落ちたり見えなくなったりすることがあるかもしれません。
今回は、自分ごととして捉え、個人の手と目が届く範囲で語ることのできる「小さな主語」を問題発見の起点にします。
そしてその問題に寄り添った小さな”商い”を行うことによって、価値を生み出すことを目標としました。限られた時間の中では商品開発に注力するのではなく、どのように体験価値に意味づけしていくかがポイントとなりそうです。
商いの実践には屋台を使用します。
いわゆる屋台と言われてイメージできる対面式の大きなサイズのものから、昔の駅弁販売員が使用していたような首からかけるだけのコンパクトなものまで用意していただきました。
屋台に立つだけでお店の人という見え方になり、まさに商いを行うための装置です。
<1日目後半>
カモメ・ラボ代表の今村謙人さんから屋台の魅力ついてのお話を伺いました。
今村さんは、自ら屋台を作り出店をしながら、モノや人を繋げる場作りを行ったり、街の未来をつくる実験のコーディネートなどを各地で実践されています。
昨年、屋台実践者や専門家へのインタビューなどを通して、現代の「屋台」から暮らし方、働き方、社会への関わり方などを考える『日本のまちで屋台が踊る』を出版されました。
今村さんが屋台を始めたきっかけは、世界一周旅行中のメキシコ。路上に座卓を出して焼き鳥屋を始めたそうです。屋台は仮設店舗であり、常に実験の場。屋台にすることでコミュニケーションに理由ができ、開かれた手段になることが魅力だとおっしゃっていました。
屋台の使い方や可能性を大いに吸収した学生達。この後は3チームに別れて、個人的な課題の洗い出しとどのように商いに繋げられそうかを考えていきます。