11月1日(土)、東京都立大学 准教授でデザイナーの田中聡一郎先生をお招きし、講演会を開催しました。 田中先生は、総合領域の教員と親戚であったり、会社員時代の上司であったりと、実は総合領域とも深いご縁のある方です。今回は空間デザイン領域との共同開催ということもあり、土曜日にも関わらず多くの学生が参加しました。

田中先生は、ヤマハ株式会社で商品開発や新しい分野のプロジェクトにデザイナーとして携わられたのち、ヤマハ発動機株式会社にて新事業価値の創出や人材開発に関わり、クリエイティブ本部 副本部長を務められました。現在は東京都立大学システムデザイン学部にて准教授をされています。


講演では、これまでの経験や影響を受けた出来事をマップ化した資料をもとに、学生時代のエピソードやヤマハでのデザイン秘話などを交えながらお話しいただきました。 身体感覚と創造性の関係、好きなことを持ち続けることの大切さ、そしてデザインがビジネスや社会の中で果たす役割についても多角的に語っていただきました。



講演後は、「歩く」をテーマに未来の履き物を考えるワークショップを実施。 小雨の降る中でしたが、参加者は素足になって学内を歩き、芝生やコンクリート、砂利など、さまざまな地面の感触を楽しみました。 その後、感じ取ったことを元にグループワークを行い、未来の社会や暮らしの中で求められる新しい履き物のアイデアを考案しました。


短い時間ながらも、体験から未来を構想する機会となり、参加者にとって学びの多い時間となりました。田中先生ありがとうございました!
参加学生のコメント
思考より身体的感覚で感性を磨くことが重要だという点に共感しました。AIが普及して、膨大な情報からアイデアが出せるようになったので、人間だから出せるアイデアが何かを考えた時に身体的感覚であったり言葉にならないような感動であると思いました。そして、「いずれ虚構と現実の境がわからなくなる」という言葉が出た時に、私が田中先生の授業でテーマとして挙げている体験型ゲームを想起しました。ゲームが2次元から3次元へと進化を遂げて、それこそ身体的感覚を取り入れられるようになっていると感じます。私は、他者が作り上げた身体的感覚の体験をすることで、より共感性が上がり他人に対する解像度が上がるのではないかと考えています。
私にとって未来とは「あったらいいな」が実現している世界です。田中聡一郎先生が仰っていたデザインの本質は「本来はこうあるべきじゃん?」をデザインすること、という言葉が印象に残りました。こうあるべきは現在達成されていると思っていても、もしかすると誰も気づいていない価値や概念があるかもしれないと感じました。講義では、既存の思い込みや概念を取っ払うような斬新なアイデアがあり、デザインは自由でいいと感じると同時に商業的、経済的な立ち回りも考える必要があることがわかりました。多角的な視点が必要であるという考え方は総合領域の学びに通じるものがありました。
私にとって「未来」とは、特別なものではなく、日常の中からゆっくりと形づくられていくものだと感じました。今日の特別講義では、下駄の未来について話し合ったり、素足で校舎を歩いてみたりと、普段あまり意識しない感覚に向き合う時間がありました。知らない人同士で意見を交わすことで、自分だけでは思いつかない考えに触れることができ、未来は一人で作るものではなく、人との関わりの中で変わっていくものだと思いました。大きな答えを出すというより、ちょっとした気づきや視点の違いを積み重ねていくことが、未来につながるのだと感じました。
















































