総合領域では、「コト」「モノ」「情報」の分野を横断的に学び、ものごとを実現していける企画提案力やプロデュース・ディレクション能力を身につけます。今回は、私が実行委員会のメンバーとして携わっている第4回PATinKyoto京都版画トリエンナーレ2025について報告します。
会期は2025年4月15日-2025年5月11日、会場が京都市京セラ美術館[ 本館南回廊2階 ]にて開催されました。PATinKyotoとは、 Print Art Triennale in Kyotoの意味で、トリエンナーレとは3年に1度、京都で開催される現代版画の展覧会のことです。私は準備期間を経て2013年の第1回から本展の実行委員として展覧会の企画や運営を行なっています。



本展の特徴としては、一般公募式のコンクールではなくPATの実行委員会が選んだ複数の推薦者によって作家は選出されています。さらに大きな空間を提供することで思い切った作品展示が可能になります。会場では全国から集まった17組20名の作家が、異なるテーマや手法・技法によって版画表現のみならす、写真や映像や立体などの多岐にわたる作品が展示されました。作家の皆さんからは先鋭的な表現の中に、ふだんから意識をすることがなかった事柄や心理的な揺らぎや駆け引きも内容に含まれてい
るようでした。描く、彫る、擦るなどの手仕事による木版画からデジタル画像の編集と高度な技術によって印刷された作品など幅広い版画の可能性を見出す作品の数々を披露いただきました。



私は実行委員長として会議を重ねながら、企画内容から資金調達、情報宣伝、搬入・展示・搬出まで少ないスタッフと協力をして共に展覧会をまとめてきました。会期中に実施した各種のトークイベントやシンポジウムには、一般の方々や学生の方々など多くの来館者がありました。また、成安造形大学の課外授業では、様々な作品を前にして作者のテーマや技法について解説するなかで、学生の皆さんからの質疑応答で盛り上がりました。この展覧会の様子は新聞や雑誌でも取り上げていただきました。最後になりましたが、本展に携わっていただいた作家の皆さんや推薦者の方々、多大な支援をいただいている一般財団法人NISSHA財団や協賛各社のほか全ての方々に感謝いたします。
参照 https://patinkyoto.info/fourth/
(文/長尾浩幸教授)